「…んん」
天使は髪を優しく撫でるそよ風の気配に空を見上げた。
「…何だかあんたの兄弟また増えたみたいね」
「ええ?」
天使の横でごろりと横になり陽光を満喫していた青年はその声に慌てて起き上がった。
「本当か?今度は誰の子だ?」
「誰、って私は知らないけどそんな気配がするわよ…あっちから」
天使はとある方向を指さした。
「あっち?あっちってことは…ええとそうか、剣士の。そうかそうか、それなら『お兄ちゃん』としては何かプレゼントでも送らなきゃなー?」
脇に置いた荷物を引き寄せると青年はその中身を嬉しそうにごそごそと漁りだす。
「男?女?」
「それはわかんないけど」
「だよな、でもこんなんはどうだ?霊験あらたか悪霊退散率100%を誇るお守りとか」
と、取り出したのは腕輪だった。どうもこの青年は自身が半分悪魔で半分人間のハーフデビルなのを時々忘れちゃうらしい。
「好きにしたら?それにしても魔王も種撒きに熱心よね。運命の女が何人いるのよ」
「どうしようもないクズなのは間違いないけど産まれた子供に罪はないからな。それに兄弟が増えるのは俺は純粋に嬉しいし」