ミドナん

 だから、こっちだって何年も待ってたんだぞ?花の時間なんて短いじゃないか。それをこのいくじなしが。
 …背丈?なんだよそれ。男が女より背が高くないといけないって決まりでもあるのか?
 は、身分?…あのな、お前、お前がずーっとこっちに来てあっちこっち好き勝手してたのって、もしかしてこの宮殿が規律にだらしがないとこだとでも思ってたのか?図星?違うよ!ワタシが言い含めてたんだ、お前はワタシの並ならぬ恩人だって、いくらでも好きにさせていい、丁寧にもてなせって、宮殿の皆に。じゃなきゃ平民がここに入ってきたって鞭打ち百回の刑なんだぞ。
 …なんだよ、そんなこと気にしてたのか。ワタシはいつだって、いいか、いつだって良かったんだ。いつだってお前の腕二本と唇でお前の言うなりにどんな風にでもできたんだ。それなのに、それなのにさ。…誰がお前を嫌うんだ、誰がお前を許さないって言うんだよ、え?
 …なんだよ、このいくじなし。ばーか。
 子供みたいなこと言うな?たまには言わせろ、お前はもう何も反論するな、これ以上くだらないこと言ったら許さない。

 とか、とても叱られました。

 「…手、出してみろ」

 ミドナはぶっきらぼうに言った。思わず利き手の左手をを差し出すと首を振る。

 「そっちじゃない、女神の紋章があるほうじゃなくてもう片手」

 右手を差し出すとミドナは指先で手の甲の上に何やら細かい模様を描いた。…一呼吸あって、指でなぞられた跡が淡く輝きだす。ミドナのサークレットに良く似た蛇の模様だ。

 「…これは?」
 「要するに形のある証が要るってことなんだろう?これから影の世界に来たら必要な時はこれを示せ。光の世界ではこの紋章は見えない。お前は国賓で国の特別貴族だ、何の遠慮も要らない。玉座の間だろうがどこだろうが好きに入ってきていい」

※冗談ED後話の補完的に。これからはワタシに仕えろとか言われたら素敵的に。身分は貴族でも下僕

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